『いのちと放射能』 by柳澤桂子

  • 2011.04.30 Saturday
  • 11:28

いままでほとんど知識の無かった放射能のこと。具体的なことは専門性が高くてわかりづらいからと、無意識に避けていたこと。でも、放射能汚染の問題が身にふりかかってきた今、一番関心のあることになった。だから、身近な文庫版で書店に並んでいた1冊を思わず手にとった。

放射能は目に見えないからこそ、知識を持っていないとわからない不安感が増す。
この本では、原子力、放射能の問題を、生命科学者である著者がわかりやすく語ってくれている。

細胞分裂と放射能の関係でわかったのは、分裂している状態の時に放射能を浴びるということがどれだけ怖いかと言うことだった。大人の体は細胞分裂をしている部分が少ないけれど、成長過程の子供はそうではない。少しでも放射能を浴びた場合、異変が起きるのはゼロではないのだから、『大丈夫』ということばを単なる確率で言って欲しくないな・・・。子供たちの体が気になる。
放射能汚染は微量でもやはり怖い。でも、すでに浴びてしまった分はどうにもならない。

だからこそ、国や組織の方針が、何をおいてもひとりひとりの国民の命を大切にした上で行っているものであってほしい。国や企業の利害が国民の命より優先されてはたまったものではない。
地震後に発せられた、『想定外』ということばに、国や電力会社幹部の責任感の無さが現れてしまっていたと思う。命を守るのに想定外はありえないのだから。
何より『命』を第一に考えて欲しい。
国や、企業を疑いたくはないけれど、この本を読んでそんなことを考えた。

著者の〆のことばが心に残った。
『目覚めようではありませんか!
地球と生命をまもるのはわれわれ庶民なのです!
子孫に美しい地球を残すために世界の人々と手を取り合って、ひとりひとりが自覚して行動する勇気をもとうではありませんか。』

ただ、原子力発電、放射能についての知識を得たうえで、今の日本の現状を冷静に受け止めて、その上で、今後、どこにどういうスタイルで暮らしていくかは個人個人が考え、選択すること。
日本人だから皆同じ考えをしなくちゃいけないということはないのだから。
でも、それぞれの意見の上にひとつにまとまっていかれたら良いなとは思う。
健康に平和に暮らしたいという想いは誰の心にもきっとあると信じたいから。


目次を転載させていただきます。
目次から著者が伝えたいことが伝わるかなと思った。

<目次>
はじめに
私たちは星のかけらでできています
DNAはいのちの総司令部
DNAは親から子へ受けつがれます
放射能を浴びるとどうなるのでしょう
弱い放射能がガンを引き起こします
放射能はおとなより子どもにとっておそろしい
お腹の中の赤ちゃんと放射能
少量の放射能でも危険です
チェルノブイリの事故がもたらしたもの
人間は原子力に手を出してはいけません
これ以上エネルギーが必要ですか
それはこころの問題です
ひとりひとりの自覚から
あとがき
文庫版への長いあとがき
解説 永田文夫(三陸の海を放射能から守る岩手の会 世話人)

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